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「ドーナツを穴だけ残して食べる方法とは?」 ネットの“穴談義”に大阪大学が真面目に応えた本が話題!

「ドーナツを穴だけ残して食べることはできますか?」

フツウに考えればムリとしか言いようのない問いかけに、「常識を疑うことこそ学問の根本姿勢です!」と受けて立つ学術書が現れました。
タイトルはそのまま『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』。
いったいなんでまたこんな本(失礼!)ができてしまったのでしょうか?
出版企画から制作・編集、販売までを手がけた大阪大学“ショセキカ”プロジェクトのメンバーにお話を聞いてきました。

企画から出版まで! 阪大学生が本を作る“ショセキカ”プロジェクト

『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』は、大阪大学“ショセキカ”プロジェクトから生まれた本です。
プロジェクトが始まったのは2012年の4月。
「学生が企画する本を学生の力で出版する」ことを目標として、教員と大阪大学出版会がサポートするかたちでスタートしました。

同年10月には、授業として「基礎セミナー『本をつくる』」を開講。
出版の仕事経験などまったく皆無な学生たちが、約2か月で出版企画を練り上げてプレゼンまで持っていくというハードなものでした。
しかし、時として人は追いつめられることによって良いアイデアを絞りだすもの。
そんななかで生まれたのが、『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』のアイデアだったのです。

大学出版会の委員をつとめる教授陣の前で、二度のプレゼンを行って無事に出版が決定。
授業はここで終了したのですが、リアルな出版を目指して有志(10名)の“ショセキカ”プロジェクトが動き出したのでした。

有名なコピペもある? 「ドーナツの穴談義」とは

ところで「ドーナツを穴だけ残して食べることができるかどうか?」という話に、「あれ、どこかで見たことあるぞ」と思った人もいるかもしれません。
実はこれ、かつてネットで流行してたびたび話題になったテーマ。
いわば同書は、このテーマに大阪大学の先生方がガチで応えてくれるという本です。

ちなみに、「第0章 ドーナツの穴談義のインターネット生態学的考察」で松村真宏准教授(経済学)が論じられたところによると、第一期ブームは2009年9月の『デイリーポータルZ』の記事に端を発しているもよう。
そして第二期は2010年3月の『ロケットニュース24』の記事、2011年10月~2013年1月の第三期ブームではNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』の2012年6月22日、23日の放送で「ドーナツの穴だけ残して食べる」ことについてやりとりがある……などなど。

「へー、なるほどー!」と引き込まれて読んでいると、「クチコミの伝播過程を解釈することでマーケティング効果測定などにも活用できるのである」と松村先生のお言葉が現れてハッとさせられました。
恐るべし、阪大教授の手練手管!
「ドーナツの穴」などというユルい話を入り口にして、学問の世界へとうまく連れ込んでしまうのがこの本なのです。

学生が教授に激しくダメ出し!「先生、この書き方ではわかりません」

「先生、ドーナツを穴だけ残して食べる方法というテーマで書いてください!」という学生の依頼を快諾したのは文系理系12人の先生たち。
いつも「締め切りは守れ!」と教えている立場だけに、ほぼ全員が締め切りぴったりに原稿を提出してくださったそうです。
ところが、締め切りを終えた先生方がホッとできるのはつかの間のことでした。

先生方から預かった原稿は、“ショセキカ”プロジェクトのメンバーでオンライン共有。
それぞれ担当する原稿について、「専門外の人が読んでわかりやすいかどうか」を徹底的にチェックを進めたそうです。
「ほとんどの原稿がコメントで真っ赤な状態になった」とメンバーたちは振り返ります。

その真っ赤な原稿を手に「ここがわかりにくいです!」「もっと注釈を!」とダメ出しをする学生たちに、先生方はビックリ。
大阪大学出版会の担当編集者さんはハラハラ……。
同プロジェクトを指導し、かつ執筆(第9章「ドーナツ化現象と経済学)も担当された松行輝昌先生も「(ダメ出しに)最初はむっとしましたね」と当時を振り返ります。
「でも、結果的にはすごくわかりやすくなりましたし、出版後の反応もよいようです」と今はにっこり笑顔で話してくださいました。

あまりに難易度の高いキーワードは学生たち自身がかみくだいて解説した原稿を執筆。
「この本の面白さをわかりやすく伝えよう」という気持ちがひしひしと感じられます。
おまけに、外国語学部の先生たちへのインタビューをもとに、世界中のドーナツを紹介する「ドーナツコラム」も掲載。
勉強の合間におやつを食べるような感覚で読み進められる本づくりも秀逸です。

「知の技法」以来の大学出版会本ブームになるか?

同書のサブタイトル「越境する学問――穴からのぞく大学講義」は、「東京大学出版会の『知の技法』のように学問への入り口として長く売れる本になるのではないか」という書店側の意見をもとに考えられたものだそうです。
『知の技法』とは、東京大学教養学部1年必修科目「基礎演習」のサブテキストとして編集された書籍。
1994年の発刊以来、現在までに約46万部を販売するというロングセラーを記録しています。

一方、『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』は、ドーナツというやわらかなテーマを先生方が自分の土俵である研究テーマに持ち込んで論じた結果、それぞれの学問分野の入り口を示す書籍。
そして、それぞれの教授のキャラクターや人となりを身近に感じられるのも大きな特徴です。
学生と先生たちが一緒になって作るという、ユニークなプロジェクトのあり方がなんともいえない人間味を醸し出しているのです。
各章のページ扉には、「ドーナツをイメージしたポーズ」をとる先生方の写真が掲載されていたり、細部にわたって大小のネタが仕込まれているのも味わい深く、きっと“大阪らしいアカデミズム”も感じられることでしょう。

というわけで、「ドーナツの穴談義」に自分なりの決着をつけたい人、あるいは単なるドーナツ好きの人、学問の世界の入り口に立つ高校生や大学生……いろんな人に“学問する面白さ”が届く一冊ですので、ぜひぜひ春の読書リストに加えることをおすすめします!

引用元はこちら


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