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経産省、全労働者に残業代ゼロを検討か 労働者に見放されるブラック企業たち

5月23日付日本経済新聞記事『労働時間規制から外す 厚労省方針 

高年収の専門職対象』によれば、
「厚生労働省は専門職で高収入の人を労働時間の規制から外す方針だ。
対象は年収1000万円以上を軸に検討する。
時間ではなく成果で評価する賃金の仕組みを導入し効率の良い働き方を促す。
労働規制の緩和に慎重だった姿勢を改め、政府が6月にまとめる新成長戦略の目玉とする」 という。

「1日8時間労働」という労働時間規制は、もともと管理職は対象外。管理職でない人も対象外として成果に応じて賃金を支払う仕組みは「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用除外)」と呼ばれ、2006~07年の第一次安倍政権では年収900万円以上で管理職になる前の総合職など一定の層の労働者を労働時間規制の適用除外とする構想が議論の俎上に上がったことがあるが、「残業代ゼロ法案」との批判を浴び、法案の提出を断念した経緯がある。

今回は、「金融機関のディーラーやコンサルタント、研究職など自分で働く時間を決めやすい専門職」で本人の同意などを導入の条件とする方向だ。

今月28日の政府の産業競争力会議で導入の検討を表明し、来年の通常国会に労働基準法改正案を提出、16年4月の施行をめざす。

●経産省主導で残業代ゼロへ

「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/5月24日号)の特集『雇用がゆがむ 官製ベア・残業代ゼロ、解雇解禁の点と線』は、こうした動きの背景には経済産業省の意向が影響を与えているという。同特集は「『官製ベア』で盛り上がったのもつかの間、安倍政権は『残業代ゼロ』『解雇解禁』など、雇用ルールの大転換に走る」と指摘している。

特集『Part1 官製ベアで約束された“受難”』では、政府の強い要請で、大手企業が軒並み6年ぶりの賃金のベースアップを回答した一方で、財界側もその引き換えとばかりに「残業代ゼロ」を政府に要望。
その意向を受けた経産省が残業代なし、深夜・休日割増なしの「スマートワーク(仮称)」構想を産業競争力会議で画策している事実をスクープしている。

スマートワーク構想とは、「本人の同意と労使合意さえあれば、どんな業務内容の新入社員でも労働時間規制が及ばず、残業代なし、深夜・休日割増なしで働かせることができる」制度で、つまりは「ホワイトカラー・エグゼンプション」をすべての労働者にまで、その範囲を拡大したものだ。

民主党政権時の財務省にとって代わり、安倍政権下の主要会議の事務局を取り仕切るのは経産省。
政府の成長戦略として、「とにかく外国人受けする政策を」と「岩盤規制」の雇用に手をつけようとしている。
ただし、強力な推進役がおらず、「ホワイトカラー・エグゼンプション」がすべての労働者を対象とするスマートワークにまで拡大するのかどうかは不透明だ。

なお、こうした「新たな労働時間制度」を主導しているとされる産業競争力会議議員の竹中平蔵慶應義塾大学教授・パソナグループ取締役会長のインタビューも掲載されており、竹中氏は自らが主導していることを否定し「主導権を取っているのは、経済界ですよ。実態に即した議論をしようとしている点で、理があるし正しいと思うのでサポートはしたい」と答えている。
また、竹中氏は「産業競争力会議雇用・人材分科会担当」であると同時に人材サービス企業・パソナの会長でもあることに対して「経済政策の専門家として入っているので問題ない。
派遣など利益相反になることには発言しない」と回答している。

●法改正で非正社員が増える?

特集『Part2 非正社員 法改正で雇い止め 遠い正社員登用』では、3月に閣議決定を経て、国会に提出された労働者派遣法改正案の問題点を指摘している。
業務ごとで派遣期間を区別している現在の制度から、すべての業務について派遣期間の上限を派遣労働者1人当たり3年にする。
つまり、派遣先企業からすれば、3年ごとに人さえ入れ替えれば同じ仕事をずっと派遣に任せられる、わかりやすい制度になる。

しかし、派遣労働者からすれば、新たな派遣就業先の提供など雇用安定措置はあるものの、その実効性はとぼしく、3年で雇い止めに遭ってしまうのだ。
通常国会での成立は微妙だが、政府は来年4月の施行を目指している。

「全就業者に占める非正社員の比率はすでに4割に迫る。人口減が進む中、人材という希少な、しかも競争力の源泉となる資源の半分近くを、不安定な環境にさらし枯渇させる余裕がこの国にあるのだろうか」と特集記事は訴える。

今回の特集は、経済誌の中でも特に労働問題に詳しい風間直樹記者らによる記事で、「東洋経済」らしい視点で書かれている。
併読をオススメしたいのは「日経ビジネス」(日経BP/5月19日号)の『さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない』という特集だ。

「景気低迷に覆い隠されていた日本経済の弱点が、白日の下にさらされた。労働力の供給が細る中、景気が回復して構造的な人手不足が露呈。『ブラック批判』を浴びる一部の企業にとどまらず、業種を超えたさまざまな企業で人材の確保が困難になりつつある。(略)限りある人材を“使い捨て”にする経営と決別する。それが実現できない企業に未来はない」として、人手不足に業務量の増加が追い打ちをかけ、アルバイトが逃げ出した牛丼チェーン大手の「すき家」や、大量閉店で人手不足を解消する「ワタミ」の事例を紹介する。

これまで固定費削減を最優先にして労働者を使い捨てしてきたブラック企業は、もはや労働者から完全に見放されている。
今後は、労働者にとって働きやすい環境整備、正社員化(限定正社員)が求められるのではないかとする。
企業側に立つ日経も、労働者側に立つ東洋経済も「雇用」「残業代ゼロ」が、しばらくはキーワードになってきそうだ。

引用元はこちら

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セイミー

ご訪問いただき有難うございます
by セイミー (2014-06-04 09:52) 

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